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ロックオンは永遠の右側で、 声優では三木眞一郎さんを崇拝。
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ふ~。アリーの口調はわっかんないですね。

 

 大学の講義のない土曜日。アレルヤはバイト先のレストランに来ていた。初めのうちは戸惑っていた仕事にも慣れ始め、刺激を受けることのできるこの仕事が楽しくなってきていた。ランチの開店に間に合うように店内の掃除に取り掛かる。普段から掃除をすることは嫌いではなかったため別段苦痛に感じることなく、手際よく進めていく。フロアにモップをかけ、テーブルを拭き終わり時計を見ると開店までまだ30分以上の余裕があった。

そこでようやく支配人がやってきた。


「準備は終わったかあ?」

「おはようございます支配人。はい、今終わったところです。」

「ああ、ん?てめえは最近はいったやつか。」

「はい。」


ここでバイトを始めてしばらく経つが、指示はフロアのチーフからいつも受けていて、支配人とは顔を合わせる程度であったため、支配人との会話にはまだ慣れていなかった。そして、支配人の威圧感がすこし苦手だった。


「そうか。まだ開店まで時間があるし俺がコーヒー淹れてやる。」

「いえっそんな申し訳ないです!」

「俺が淹れてやるって言ってんだから、お前は黙って飲め。」

「はっはい…ありがとうございます。」


支配人はそのまま厨房へと入って行った。アレルヤはどうして支配人がただのバイトの自分のためにコーヒーなど淹れてくれるのだろうと不思議に思ったが。(見かけの割にいい人なのかもしれないな。)とのんきにも考えていた。


***


そのころ厨房に向かった支配人は、コーヒーを淹れながらアレルヤについて考えていた。あいつは何故だか初めてあった気がしない。この店で働いているわけだから、顔を合わせたこともあるし、実際には初対面ではないのだが。だが、アレルヤからはそれとはべつの何かを感じるのだ。だからなのか、ただのバイトであるアレルヤにコーヒーを淹れてやるなどと、柄にもないことを言ってしまった。……そうか、どうしてだかわからないがアレルヤはかつての恋人を思い出させるのだ。

コーヒーを二人分入れ終わるとフロアに向かう。アレルヤを見ると、座っていればいいものを先ほど申し訳ないと言っていたが、本当にそう思っていたようで恐縮した様子で突っ立っていた。

 

「ほら、そこ座れ。」

「はっはい、すみません。」

 

コーヒーをアレルヤの前においてやる。俺はいつもブラックで飲むため、アレルヤもてっきりそうだと決めつけていたが、どうやら違ったようだ。テーブルの端に置いてあるミルクと砂糖に手を伸ばして、緊張しているのか動きがかたい。そのぎこちない様子を見ていると、角砂糖二つとミルクを少し入れ飲み始めた。

 一体こいつは…どうしてそんなところも似ているのだ。あいつの飲み方と、全く同じだった。

 


『てめえ、コーヒーはブラックで飲むもんだろ。せっかく俺が淹れてやったのによ。』

『いーんだよ。これが一番おいしいんだ。砂糖二つとミルクを少し。

ほら、あんたも飲んでみろよ?』

『はっ、そんな甘ったるいもん飲めるかよ。』

『んなこと言ってないで一回飲めよっ!』

 

そう言って自分のカップから一口飲むと唇を合わせてきて、そのまま咥内に流し込まれたそれを飲まされた。やはり甘くて、自分の好みの味ではなかったが、あいつのキスとともに味わったそれは悪いものでもなかった。

そんな、昔のことを思い出していた俺は「とてもおいしいです。」と言ったアレルヤの言葉を聞き意識を目の前へと向けた。

 

「そりゃ、よかった。だがお前…いつもそんな甘くして飲んでるのか?」

「えっと、すみません。ブラックでも飲めるんですけど、家ではいつもこうやって飲んでいるので。母の飲み方なんですよ。」

「母親?」

「はい、初めて飲んだ時に母親がこれが一番いい割合なんだった言って、それからずっとそうなんです。」


まさか…こいつの母親っていうのは。いや考えすぎか、そんな偶然あるわけ……はっ、んだよ。うだうだ考えてないで聞いてみればいいことじゃねえか。


「なあ、お前の母親の名前はなんて言うんだ?」

「えっ?母ですか?ロックオンです。旧姓はロックオン・ストラトス。お知り合いですか?」


本当にこいつの母親はあいつなのか…。こんなにでかい子供がいたなんてな。結婚したのか。ははっ、あれからどれだけ経ったとおもっているんだ、結婚して子供ぐらいいたっておかしくねえよな。


「ああ、昔この店でバイトしてた。」

「えっ!ほんとですか?…こんなことあるんですね。」


純粋に驚くアレルヤに、最近のガキはすれてるやつが多いがこいつは違うのだと思った。ああそうか、
あいつの子供だからかもしれないな。

「俺も驚いたぜ、あいつの子供がこんなでかいなんてな。お前いくつだ?」

「二月に二十歳になりました。」

「二月…。あ?なんだ、つーことは…。これで合ってるよな?だからか。ははっこれは傑作だ」


こいつから感じたものはこれが原因だったのか、そういうことなら納得がいく。


「あの、何かわかったんですか?」

「ああ、わかったぜ。すげえことがよ。――お前は俺のガキだ。」

「えっ何言って…。」

「あ?だから、俺がお前の父親だ。つったんだよ。お前の今の、エーカーさんだっけか?そいつとロックオンがいつ結婚したのかは知らねえが、お前が今二十歳で二月生まれだっつうんなら間違いねえな。」

「そんな、いきなり言われても。……昔母と?」

「付き合ってたぜ、二年ほど一緒に住んでいた。だがあいつが勝手に出て行ったんだ。」


嘘は言っていない。あいつが出て行った原因は間違いなく俺にあるだろうが。あれ以来一度も会ってないし、連絡をとったこともなかった。


「母は理由もなしにそんな行動をする人には思えないのですが。」

「あー、そうだろうよ。俺が部屋に女連れ込んだのが気にさわったんじゃねーのか?」

「それは、あなたが母と住んでいた部屋に女性を入れたということですか?」


先ほどまでのなよなよした雰囲気はなくなり、アレルヤの口調から俺に敵意が向けられていることがわかった。


「そうだって言っただろ。何回も言わせるな。それになんでてめえがそんなに怒ってんだ?マザコンか?」

「ふざけないで下さい!」


テーブルを叩き、立ち上がったアレルヤは本格的に怒っているようで、こちらを睨みつけてきた。なんだ、こんな表情はあいつにそっくりじゃねえか。


「わかったから落ちつけよ。とにかくもう開店の時間だから、この話はこれで終わりだ。仕事にかかれ。」

「もう、今日いっぱいで辞めさせてください。あなたとなんてもう一秒も一緒にいたくない。」

「なんだよ、あんまりじゃねえのか父親に向かって。」

「あなたは僕の父親じゃありません。血がつながってなかったとしても育ててくれた今の父が僕の父親です!」

「はっ、そーかよ。もういいぜ、今すぐ帰れよ。俺みたいなやつとは一秒だって居たくないんだろ?」


そう言うと、アレルヤは唇をかみしめ怒りを堪える表情をみせた。


「お世話になりましたっ!」


そう言ってアレルヤは従業員のロッカールームへと走っていった。おそらくそのまま裏口から帰るのだろう。ああ、あいつが俺の子供だなんてな。俺が子供をもつことになるなんて、想像したこともなかった。この俺がだ。だがまあ、あいつとも二度と会うことはないのだろう。嫌われたみてえだし。

なにげなくテーブルの上に目を落とすと、アレルヤのカップにまだコーヒーが残っていた。自然と手を伸ばして、少し口にふくむ。咥内で少し味わい飲み干すと、やはり口の中に甘ったるさが残った。一口しか飲んでいないというのに、口にのこった甘さはしばらく消えなかった。








<アリーは最低だ!だけどアリーにも思うことはあるはずなんですよね。>

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